Kanai Works実績紹介

伝承そして、拓新。

金井大道具は、明治19年(1886年) 劇場付きの大道具会社として創業。
以来、歌舞伎を中心に国内の主要な劇場で舞台大道具を手掛けてきました。
私たちは、伝統を大切に継承しながら、
常に時代を見つめて、新たな挑戦を続けていきます。

ウエスト・サイド・ストーリー
原案 ジェローム・ロビンス / 脚本 アーサー・ローレンツ / 演出 デイヴィッド・セイント
デザイン アナ・ルイゾス / 企画・製作 TBS / 会場 IHIステージアラウンド東京 / 期間 2019.8.19 ~ 10.27

会場の「IHIステージアラウンド東京」は、劇場の中心に360°回転する円形客席を配置し、その周りを、ステージと巨大なスクリーンがぐるりと取り囲む斬新で壮大な劇場である。 ミュージカルの金字塔として名高い「ウエスト・サイド・ストーリー」は、今までも数多くの再演はなされているが、ステージアラウンド版としては世界初演となる。その大道具製作を金井大道具が担当した。 デザイナーはブロードウェイなどで活躍中のアナ・ルイゾス氏。セットのイメージは、リアルな古いニューヨークの街並みで、デザイン図面は細部までこだわりが感じられるものであった。それを再現するために、NYでの打ち合わせやテレビ会議を重ね、日本で調達できるものを工夫して製作したが、建物のレンガ壁面の素材は、アメリカから輸入をして製作をした。客席を取り囲むようにステージが配されているために、4方向に舞台があり、かつ、8シーン分のセットが必要であったため、大量の大道具を2週間かけて仕込みを行った。

KEREN
脚本・演出 高平哲郎 / 美術 金井勇一郎 / 主催 吉本興業
会場 COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール / 期間 2019.2.24 ~ 2019.8.25

大阪発、世界に通ずるエンタテインメントの発信をテーマに開業した、COOL JAPAN PARK OSAKAの会場のひとつ、WWホールでのこけら落とし公演の舞台美術を担当。巨大LEDパネルを背景に、各場面で現れる重量級の大道具の転換は「オートメーション」であり、ひとつの操作卓で制御されている。またフィナーレ前の"大仏殿の崩壊"のシーンでの梁や柱が次々に倒壊していく演出もこの「オートメーション」によるものである。そのため、基礎舞台からの仕込みも行った。近代の機構技術とは逆に、例えば演目冒頭、浮世絵"富嶽三十六景"の荒波の表現で「浪布」を用いるなど、昔ながらの歌舞伎の演出手法も盛り込んでいる。

能 楽
主催 国際交流基金 / 日本経済新聞社 / フィルハーモニー・ド・パリ
会場 シテ・ド・ラ・ミュージック /  期間 2019.2.6 ~ 2019.2.10

フランス国内で開催した日本文化紹介イベント「ジャポニスム2018」伝統芸能舞台のフィナーレを飾った能楽公演を金井大道具が製作、施工を担当した。
日本より能舞台を持ち込み、本格的な能舞台を製作したのは世界初の試み。大屋根の総重量1200kgを チェーンモーターで吊り上げ、鉄骨組の柱に大屋根を乗せ組上げました。
日本側スタッフ11名フランス側スタッフ10名通訳3名が協力して1日と半日で完成。日本の技術、段取りの速さ、無駄のない進行は、フランス関係者から高い評価を受けることができた。

オセロー
作 ウィリアム・シャイクスピア / 訳 河合祥一郎 / 演出 井上尊晶 / 美術 中越司 / 制作 松竹
会場 新橋演舞場 / 期間 2018.9.2 ~ 2018.9.26

1604年の初演以来、現在も上演が途絶えない、世界演劇史上屈指の人気作「オセロー」が新橋演舞場に登場。
蜷川幸雄さんの助手を長年勤め「蜷川イズム」を受け継ぐ井上尊晶さん演出、中村芝翫さん襲名後初となる翻訳劇。
サンメントという装飾材・マチエールを使用し西洋の古典建築様式を再現した外壁は、リアルなヴェニスの街並みを表現。新橋演舞場に今までになかった空間を創り上げ、最高に美しい「悲劇」を演出している。

ミュージカル『刀剣乱舞』 ~阿津賀志山異聞2018 巴里~
演出 茅野イサム / 脚本 御笠ノ忠次 / 振付・ステージング 本山新之助 / 美術 金井勇一郎
会場 日本青年館ホール / 期間 2018.8.3 ~ 2018.8.19 © ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会

2次元の漫画、アニメ、ゲームを原作とし、3次元の舞台コンテンツとした新しいジャンルとして、近年目覚ましい勢いで観客を増やしている2.5次元ミュージカル。
その中でも、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズの舞台美術を担当している。
本作品は2015年のトライアル公演を経て、2016に上演したシリーズ第一作「阿津賀志山異聞」からブラッシュアップしたもので、「ジャポニスム2018:響きあう魂」の公式企画としてパリでも上演された。
舞台装置も、袖やバックパネルの模様などは初演時からいくつかの変更を経ている。
片側約9メートルの巨大な階段舞台を上下( かみしも) に開くことで、シーンのバリエーションを作っているが、両方の階段が同じ動きをするようにワイヤにて仕掛けがしてある。
プロジェクションマッピングで映し出される映像と合わせ、迫力のある舞台となっている。

音楽劇 マリウス
脚本・演出 山田洋次 / 美術 金井勇一郎 / 製作 松竹
会場 日生劇場 / 期間 2017.3.6 ~ 2017.3.27

山田洋二監督が脚本・演出をしたマルセイユ三部作「マリウス」。
マルセイユの港にあるカフェが舞台であることから、金井社長自ら現地へ赴き、建築写真、資料を収集。
日本とは異なる洋建築特有の比率や南仏のイメージを具現化。
眩い太陽、光輝く海を、それぞれの味わいを再現する造作を目指すために色の選定にも細心の注意を払った。
舞台が一枚の絵画となるように、抽象画を参考にした色の配色がなされています。

地球投五郎宇宙荒事
脚本 宮藤官九郎 / 演出 三池崇史 / 美術 金井勇一郎 / 製作 松竹
会場 EXシアター六本木 / 期間 2015.2.3 ~ 2015.2.18

江戸時代、浅草に現れた宇宙から来た悪の親玉と人気役者が戦うという筋書きのSF 歌舞伎。
舞台のメインオブジェクトとなる地球に凸凹を持たせたいという要望に応え、何度も試作を重ね、枠に張り込む時の耐久性や凹凸の差の出やすさなどを考慮し、最終的にはゴム樹脂成分のラテックスを使用しました。
また、地球を斜めに動いているように見せるため、バトンの昇降の動きに加えて、キャスターを仕込むことで、左右横の動きを足し、斜め移動をしているような仕掛けを作成。
歌舞伎の特色である花道も、もともと存在しない会場であったため、新規で仮設のL型の花道を作り、演出上、通常よりも長い距離を持たせました。

ANJIN イングリッシュサムライ
脚本 マイク・ポウルトン / 演出 グレゴリー・ドーラン / 美術 金井勇一郎 / 製作 ホリプロ
会場 天王洲銀河劇場 / 期間 2009.12.10 ~ 2010.1.18 / 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ / 期間 2010.1.22 ~1.31

その数40を超える場面をいかにスムーズに展開していくか、それがデザインにかかわる大きなポイントでした。
打合せの中、ロンドンにいる演出家から届いたメール。そこには、"Byoubu"<屏風>というデザインのキーワードがありました。演出家の頭には、金色の雲が描かれる戦国合戦絵図屏風や南蛮屏風があったのです。
この"Byoubu"という言葉に込められているイメージをどのようにデザイン的に表現すべきか、それが、全体のデザインコンセプトを方向づけました。そのメールにも金色の雲が美しいと書いてあり、全体のコンセプトイメージをこの金色の雲で統一。現場での照明デザイナーとの協調により表現を深め、さらに、舞台監督はじめ演出部の皆さんとともに、舞台転換をスムーズに展開していくための共同作業が進められました。

ヘッダ・ガブラー
作 ヘンリック・イプセン / 演出 栗山民也 / 美術 二村周作 / 製作 シス・カンパニー 
会場 Bunkamuraシアターコクーン / 期間 2018.4.7 ~ 4.30

130年ほど前に作られた劇作家イプセンの問題作。美術、二村周作さんのデザインは直線を多用した端正な室内のセット。静かな室内に巨大な鉄扉があり、その鉄扉の硬さや冷たさが物語全体の"不安"さを増幅している。
鉄扉が開いてガラス窓から入ってくる光の直線が、セットの直線と交差しとても美しい。
正面に掲げられたヘッダの父、ガブラー将軍の肖像画は、娘ヘッダの生き方を縛ることを表現。
すべての成り行きを監視するガブラー将軍の肖像画の下で、衝撃のラストシーンが演じられる。

大歌舞伎 NINAGAWA十二夜(初演)
脚本 今井豊茂 / 演出 蜷川幸雄 / 美術 金井勇一郎 / 製作 松竹
会場 歌舞伎座 / 期間 2005.7.7 ~ 7.31

シェイクスピアの十二夜を歌舞伎に翻案。
歌舞伎×シェイクスピア×蜷川幸雄という、夢のコラボレーションが演劇界に衝撃を与えた作品。
2005年7月、歌舞伎座にて初演。歌舞伎座を知り尽くしている金井勇一郎が舞台美術に抜擢されたが、この作品が意外にも金井勇一郎にとっては、舞台美術としては歌舞伎座デビュー作品となり、蜷川さんが苦笑する場面もありました。
蜷川幸雄さんからは歌舞伎の基本は守った上で、十二夜の二面性を表現上でミラーを使って欲しい、後は大胆にとのオーダー。
NINAGAWA 十二夜はこの年の演劇賞を多数受賞、舞台美術においても第15回読売演劇大賞最優秀スタッフ賞を受賞。
2009年3月にはロンドン バービカン劇場で上演、絶賛を博しました。